この記者は、アジア人初のオリンピック2連覇を果たした2018年の夏に、羽生が「競技を続けていくモチベーションがどこにあるのかずっと考えている」と発言したのを聞いたという。
「今思えば、2018年は羽生にとって転機の年だったのだと思います。平昌オリンピックで金メダルは獲得したものの、右足の故障でリハビリを余儀なくされ世界選手権も欠場。急に時間ができたことで、今後のことをゆっくり考えたのでしょう。初めてアイスショーを自分で開催したのもこの年でした。競技ではなくショーを活動の舞台にすることをこの頃から本格的に考えはじめたのでしょう」
「羽生争奪戦がこれから激化すると思います」
競技者としては頂点を極めた羽生だが、ショーの世界でも輝くことはできるのだろうか。アイスショーにも詳しいフィギュアジャーナリストは、羽生の本格的なショー参入を業界が待望していたと語る。
「アイスショー業界にも羽生さんのファンは多いので『競技シーンで滑る羽生さんの姿をもうちょっと見ていたかった』という声はききます。ただ、いざプロスケーターになるとなれば話は別で、羽生争奪戦がこれから激化すると思います。というのもアイスショーはいい席だとチケットが3万円を超えますが、出演者によっては客席がガラガラになることもあるシビアな世界。羽生さんは表現力など実力はもちろんのこと、中高年女性を中心に金払いのいいファンを抱えていますから彼が出演するかしないかでショーの売上は全然違うものになるでしょうね」
プロスケーター羽生結弦の誕生は業界にとって千載一遇のチャンスだが、本人の懐事情も気になるところだ。収入は増えるのだろうか、それとも減るのだろうか。
「アイスショーは一年じゅうあるわけでもないので出演するだけで大金持ちというわけにはいかないでしょうが、自分で主催すれば話は別。今頃羽生さんには主催の相談が殺到しているでしょうから、条件も有利な立場で交渉できる。それに羽生さんレベルで知名度と好感度を兼ねそなえているアスリートは全スポーツを見渡しても大谷翔平選手くらいですから、ANAなどのスポンサー契約も続くでしょう。なので収入は間違いなくこれまでより増えるでしょうね」(前出・フィギュアジャーナリスト)