1ページ目から読む
2/3ページ目

なんとナイキがシェア1位に!

 2018年、第94回箱根駅伝のシューズ割合はこうでした。

第94回箱根駅伝「メーカー別着用シューズ内訳」(「EKIDEN News」調べ) ※1/11 13:40アディダスの人数を35人に修正

【2018年箱根駅伝のシューズ内訳】

・ナイキ 58人
(ナイキV【ヴェイパーフライ、ズームフライ等の厚底タイプ】=39人 + ナイキ 【その他のナイキ】=19人)
・アシックス 54人
・ミズノ 37人
・アディダス 35人
・NB(ニューバランス) 23人
(NBML【NBの三村モデル】=18人 + NB【その他のニューバランス】=5人)
・ML(三村モデル)【NBと契約する前に三村さんが「ミムラボ」で作ったシューズ】=3人

ADVERTISEMENT

 ちなみに昨年2017年のシューズ内訳はこうでした(箱根駅伝録画映像から)。

【2017年箱根駅伝のシューズ内訳】

・アシックス 67人
・ミズノ 54人
・アディダス 49人
・ナイキ 36人
・ニューバランス 4人

 これは衝撃の結果です。今まで長らく第一党だったシューズ界の自民党、アシックスが、とうとうナイキにその座を明け渡したのです。日本独自の文化と言われる駅伝においては、“黒船襲来”といっても過言ではありません。

 ニューバランスに至っては、昨年は4人しか履いてなかった。思い浮かぶ選手といったら昨年まで廃番になったRC1300をずっと履き続けていたことでおなじみの拓殖大のワークナー・デレセ・タソぐらいです(ちなみに、ワークナー・デレセ・タソは拓殖大主将に就任!)。

2区で8人抜きの快走を見せた拓殖大のデレセ・タソはNB着用

ふたつのメーカーに共通した“戦略”

 ナイキとニューバランス、2つのメーカーの大躍進は、業界関係者を震撼させました。これまでは、中学・高校から履き慣れたミズノやアシックスを大学、社会人と履き続けるというランナーが多かった。それくらい、馴染んだ履き味は大事だったわけです。ナイキやアディダスなど、海外から色々なブランドが入ってきても、“かっこいいけど、やっぱり走るにはイマイチだよね”、“外国人に合わせて作ってるもんね”、“やっぱり日本人の足には日本製のシューズだよね”という意見が大半でしたから。

 ニューバランスとナイキの2社に共通している戦略は、通常ランニングがシーズンインする秋に大型の新作を発表するものなのに、箱根駅伝を軸にキャンペーンを打ったというところです。箱根駅伝の公式スポンサーはミズノなので“箱根駅伝”というフレーズを使ったプロモーションはできない。じゃあどうしたらいいかさんざん考えた成果が、今回の結果に表れたんだと思います。

 またナイキは、えげつないほどの販売戦略をしかけています。1月3日に箱根駅伝が終わり、ヴェイパーフライに注目を集めたところで1月4日から新色の店頭、Web発売が同時スタート。朝9時からのWeb販売には多くのランナーがPC前で待機・販売開始と共にアクセスするも1分後にはすべてのサイズが完売したんです。ちなみに店頭には転売狙いの業者も並び、ヤフオクやメルカリでは数多くの転売品が出品されるという、ナイキのイノベーションに水を差す「なんだかなぁ」という現象も。ただ、今回は東洋大学が往路優勝したことで、ナイキのヴェイパーフライは使えるということが分かった。中高生の若いランナーは、お年玉を握りしめてショップに向かったことでしょう。これは最大のキャンペーンになったと思います。

健闘した東海大、6区中島から7区國行も「ナイキ ヴェイパーフライ」タスキリレー