北海道札幌市のアパートで女子大学生・瀬川結菜さん(22)の遺体が発見された事件。死体遺棄容疑で10日に再逮捕された小野勇容疑者(53)は、北海道警察の調べに対し、殺害をほのめかす供述をしているという。本人のツイッターアカウントからは瀬川さんの殺害のほか、自殺願望者から依頼されて殺人を行う「嘱託殺人」に、他にも複数件及んだことを匂わせる投稿が見つかり、世間に大きな衝撃を与えている。
文春オンライン取材班は、小野容疑者へ嘱託殺人の依頼を現在進行形で検討していたという札幌市在住の30代女性Aさんに接触することができた。Aさんは、瀬川さん死体遺棄現場となったアパートで小野容疑者と一夜を共に過ごし、お互いの境遇を語り合ったという。そこで明かされた小野容疑者の“転落”への半生とは――。
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「中2病」のようなドクロマークが入った黒ずくめの服装
Aさんが小野容疑者と最初に接点を持ったのは2018年のことだ。人生に悩み、「死にたい」という思いが強くなったことから、思いの丈を吐き出すためにツイッターの「裏アカウント」を作り、投稿を繰り返していた。すると、小野容疑者との接触の機会は、すぐに訪れた。
「『#札幌』『#うつ病』といったタグをつけて、病んだ内容の投稿ばかりをつぶやいていました。気が付けば、自然な流れで小野さんと相互フォローする関係になっていましたね。小野さんの投稿を見るうちに家が近所であることもわかってきて…。
DMでやり取りをするなかで、小野さんは元々ボスニアで傭兵をやっていて人をたくさん殺したことがあると話し、『死にたいんだったら殺してあげるよ』と提案されたこともありました。そんななか、小野さんのどこにそこまで惹かれたのかは自分でもわかりませんが、どんな人物なんだろうと、興味本位で小野さんの自宅を訪れることにしたんです」(Aさん、以下同)
当時、出会った小野容疑者の姿は、事件後のニュースに映る姿よりもぽっちゃりとしていて、ドクロマークが入った黒ずくめの服装だった。Aさんには「中2病」のような中年男性に見えたという。さらに、部屋にあったのは、バンドマン顔負けの数のギターと、大量のサバイバルナイフだった。Aさんは「これが死神(小野容疑者はツイッターのプロフィールに《心優しき死神でありたい》と書き込んでいる)の部屋か」と妙に納得した。室内にはモノが散乱していたというが、なかでも不思議に感じたのは、大量のぬいぐるみが置かれていたことだった。