「空想癖がとにかく強い人でした。『仙台の訓練で1番になった』とか、『あそこのお店の店員の娘と付き合っているんだ』とか……数え上げればきりがないですね。調べればすぐにわかるし、先輩にも後輩にもバレているのに、全く気にしないんです。意思の疎通は確かにできるんですが、自分の世界に入り過ぎているというか。出来の良いロボットと会話をしている気分でした」(陸上自衛隊時代の小野勇容疑者の同僚A氏)

 北海道・札幌市のアパートで女子大学生・瀬川結菜さん(22)の遺体が発見された事件。このアパートに住む小野勇容疑者(53)=死体遺棄容疑で再逮捕=は、北海道警察の調べに対し、瀬川さんの殺害を認める供述をしているという。

小野容疑者(Facebookより)

 一方、事件の全容解明に向けて一つの焦点となっているのが、小野容疑者がツイッターで「3人目」とつぶやくなど、他の犠牲者の存在を示唆していることの真偽だ。

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 小野容疑者が高校卒業後、初めて社会人として働き始めたのが北海道・千歳の駐屯地にある陸上自衛隊第7師団71戦車連隊である。取材班は、約30年前、小野容疑者と自衛隊員として苦楽を共にしたという、当時の同僚A氏を取材した。A氏は当時から小野容疑者が持っていた“強烈な空想癖“について証言した。

基地の外でも腰にサバイバルナイフを入れて出歩いていた

 A氏によると、小野容疑者は「就職に失敗して自衛隊に入った」と話していたという。陸上自衛隊では戦車連隊の通信業務を担当。6年間、働いた。小柄で、体力はなく事務作業も得意ではなかったという。A氏は小野容疑者の入隊から2年後に同じ連隊に配属された。

自衛隊時代の小野容疑者

「正直、あまり尊敬できる先輩ではありませんでした。要領が悪くて、私の方が先に作業が終わった時には『今日のところはお前に花をもたせてやった』と言われたりしました。厳しい人でもありませんでしたし、後輩からも冗談を言われ、からかわれるような“いじられキャラ”でした。

 お洒落には無頓着ですが、よく自衛官とわかるようなミリタリー調の服を着て千歳の飲み屋や札幌のすすきのに出かけていました。本人としてはカッコつけてるつもりだったようです。

 基地の外でも腰にサバイバルナイフを入れて出歩き、上官からは『そんなもんブラ下げて危ねえよ』と怒られていました。それでも小野さんは『護身用です』と言い張って、外すことはありませんでしたが……」