Q 他社のビジネスを真似る際に注意すべき点があれば教えてください。

 先日、上司から他県で行われている取り組みを見せられ、同じようなプロジェクトを立ち上げてほしいと言われました。そのまま真似るのも芸がないと、公開されているホームページを参考にしながら試行錯誤の毎日です。亀山さんは「他社のビジネスを真似ることもある」という趣旨の発言をされることがありますが、その際に注意すべき点があれば教えてください。(30代・男性・公務員)

A 先駆者の結論に敬意を払って、そのまま同じものを別の違う場所でやる方が、早くて間違いないと思う。

 どうせアイデアをパクるなら「参考にする」なんて緩いこと言わずに、まずはマルパクリがいい。もちろん法律で守られてる権利はダメだよ。

 後発者がなまじっか机の上で考えて改良したものは、たいていは改悪になっちゃうもんだからね。

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 先に始めてる人は、いろいろな試行錯誤を重ねて現在の形でやってるんだ。先駆者の結論に敬意を払って、そのまま同じものを別の違う場所でやる方が、早くて間違いないと思う。

 そして、その後にオリジナルのアイデアや改良を自分の力で考え出して足せばいいんだよ。ちゃんと運営の経験を積んでからね。

 例えば、DMMが始めた太陽光発電事業はドイツのパクリ。たまたま、NHKの『クローズアップ現代』で「ドイツでは政府が買い取り保証をしてソーラー事業が伸びています」というのを観て、「これはそのうち日本でも始まるかも」と、すぐに社員をドイツに調べに行かせた。

 その後、震災後に日本でも本格的な買い取り制度が始まったんだけど、初めてのことだから買い取り価格がいくらなら採算がとれるか自信が持てなかった。そんな時やっぱりTVで、孫正義さんがソーラー発電を始めると言ってるのを見て、自分より頭の良い人が出した結論なら間違いないだろうと、ウチも発電所建設事業をスタートさせた。

 つまり、よく分からないときは、うまくやってる国や会社や人を真似ればいいってこと。情報源はTVやネットで十分。探せばパクりたいお手本が山盛りよ。

 ちなみに、一方で俺が考えた「売電シェアビジネス」も始めたんだけど、これが大外れ。一般家庭の屋根を借りてDMMがパネル代を負担する代わりに売電収入を山分けにするというサービス。ユーザー負担がほとんどないので、予定通り依頼が殺到したんだけど、日本の家の屋根は狭くて形も多種多様。たくさんの調査費用をかけたのに、採算の合う屋根が3%しかなくてあえなく撃沈しちゃった。

 つまり、面白いと思ったオリジナルアイデアは、実際やってみると穴だらけだったってこと。世の中は甘くないね~(泣)。

 そして、初めは見よう見まねだった社員たちも慣れてくると、オリジナルパネルや蓄電池、パーム油発電、マイニングサーバー販売など、勝手に自分たちでアイデアを出し合って、勝手に伸ばしてくれている。

 君は真面目そうだから、パクることに罪悪感があるのかもしれないけど、世の中でオリジナルといわれるものでも、ほとんどが過去にあったものの組み合わせだよ。

 先人たちの知を引き継いで文化が守られ、先人たちの知を進化させて文明が栄える。「模倣して、学んで、進化」だね。


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