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 大失恋から4年の月日を経た2007年2月、寺島は自身が「ひとめぼれ」したというフランス人アートディレクターのローラン・グナシア氏と結婚。2012年9月に出産した長男は今年5月、初代尾上眞秀へと名を改め、歌舞伎座にて初舞台を踏んだ。

夫のローラングナシア氏と ©時事通信社

 結婚会見で語っていた『男の子ができたら歌舞伎役者にしたい』という夢を現実のものとした寺島。明星大学教授で演劇評論家の村上湛氏が語る。

「あれだけ芝居が好きで上手くて、男性だったら歌舞伎の頂点に立てたであろうしのぶさんにとって、自分が女性で歌舞伎役者になれなかったことに対しては極めて複雑な感情もあると思います。その抑圧が今のしのぶさんを作った面もありますが、たまさかの縁で男子を授かった。しのぶさんにとって、眞秀くんを歌舞伎役者に育てることは悲願でもあったでしょう」

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息子の眞秀くんは「天才的な“勘の良さ”と“華”が両方ありました」

 その眞秀は、市川猿之助の“一家心中”騒動で未だ揺れ続けている歌舞伎界の“救世主”になる可能性も秘めている存在だと、村上氏は話す。

「いつの時代でも歌舞伎界が常に求めているのは、“新たなスター”です。初舞台の5月興行での眞秀くんには、幼い頃の猿之助さんを彷彿とさせる天才的な“勘の良さ”と、市川團十郎さんの子役時代に通ずる“華”が両方ありました。まだ子どもですからどう転ぶかはわかりませんが、同じくハーフだったとも言われる歌舞伎役者で、戦前の歌舞伎界で天下を取った十五代目市村羽左衛門に匹敵するような“スター”になれる可能性も十分あります。それも母であるしのぶさんの尽力あってのことだと思います」

映画『あちらにいる鬼』

 昨年公開の映画『あちらにいる鬼』では、瀬戸内寂聴をモデルにした主人公を演じるため自分の髪をすべてそり落としたことでも話題となった寺島。女優として、母として、寺島しのぶの存在感はますます高まっていく。