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 そして、福島は県都なのに人口は県内で3番目。郡山市といわき市が32万人台で競り合っていて、福島は少し離された27万人台で第3位。

 県庁所在地が人口ナンバーワンではないというのはほかにもたくさんの例があるから珍しくもない。が、人口は第3位、新幹線は「はやぶさ」も停まらない。なんだか不遇にもほどがあるではないかと思うのだ。

 いくら古関裕而のまちと言ったって、通過されてしまっては元も子もない。それでも、この町が県都であることには何かの理由があるはずだ。

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「この福島という駅、なかなか妙な構造をしている」

 いつまでもホームで夏休み気分に浸っていても仕方がないので、駅の外に出る。この福島という駅、なかなか妙な構造をしている。新幹線のホームと在来線のホームの間には、広々とした留置線があるのだ。

 それと在来線のホームをまとめて跨ぐ通路を延々と歩いて、やっと駅ビルの入っている東口の改札にたどり着く。改札口はホームに面する地上にあって、そのままバリアフリーで改札を抜ける仕組み。いまどきの橋上駅舎とは違い、昔ながらの構造である。

改札の外に出ると…

 改札の外に出ると、傍らには1階にドトールコーヒーの入っている駅ビル。改札のすぐ目の前にはピアノを弾く古関裕而さんの像。さらに広場の先には、松尾芭蕉の像もあった。たぶん、「奥の細道」の旅で福島も通ったのだろう。芭蕉さんは古関裕而さん以上に日本人に愛されていて、彼が歩いた町であればどこに行っても像が建つ。

 

 駅前広場はバス乗り場やタクシー乗り場があるような、ごく普通のそれ。大きいと言えば大きいが、県都のターミナルなのだからそれからすれば小ぶりといっていいくらいだ。

 そして、正面には多くのビルが建つ。だいたい、駅前からはまっすぐに街中に通じる大通りが伸びているものだ。とにかくそれを歩くことが、町の様態を把握する早道である。

 ところが、福島駅前ではそれに該当する道がどれなのか、ちょっとわかりにくい。駅のいちばん目の前にある「駅前通り」という道は、いかにも町の目抜き通りというにはいささか狭い2車線道路。対して、北側と南側にもっと広い道が通っている。

 どの道を歩いても、結局は東側に広がる中心市街地に出るのだから問題はなかろう。少なくともここから言えることは、福島の町はターミナル・福島駅を中心において広がるような構造の町とは違うのでは、ということである。