駅前通りを歩く。歩道が広い、人通りも多い。ほどなく…
ひとまず駅前通りを歩く。歩道が広い道で、人通りも多い。福島の町の人は、だいたい駅を出たらここを歩くのだろう。ほどなく、AXCという大きな商業ビルが見えてくる。このビルは、1979年に長崎屋が入るビルとして建てられた、福島駅前の老舗商業ビル。いまはホテルや行政機関が入っていて、長崎屋はとうに撤退している。
AXCのある角では、福島の町を南北に貫く大通り・信夫通り(国道13号)と交差する。この角をずーっと北に行けば、福島のシンボル・信夫山。交差点からも北を望めば信夫山を見ることができる。今回は信夫山登山の予定はないので、引き続いて駅前通りを東に歩く。
信夫通りの交差点からひとつ先、正面に常陽銀行が見える角。ここから先は、ただでさえ目抜き通りにしては狭い駅前通りが、もっと狭くなる。通りの名も変わって、「レンガ通り」という。
角を南北に通る道は「パセオ470」などという、洒落込んだ名前がついている。カタカナが道の名前に与えられているエリアは、だいたいにおいて町の中心繁華街。福島駅前から5分もかからない、この四つ角こそが福島の中心市街地へのゲートになっているというわけだ。
レンガ通り沿いがいかにも中心街っぽいエリアになってきて…
パセオ470沿いは商業施設や飲食店が多いのに対して、レンガ通り沿いには日本銀行福島支店があったり、他には東邦銀行や野村證券などなど、金融機関が集まる。福島の兜町……などと呼ばれているかどうかはわからないが、いかにも県都の中心市街地らしい顔をしているエリアといっていいだろう。
レンガ通りの行き着く先には里程元標が建ち、福島県庁からまっすぐ北に伸びる県庁通りへ。レンガ通りと県庁通りの角には、江戸時代創業の呉服店に端を発する福島の老舗百貨店・中合があったが、いまはホテルに生まれ変わっている。
この角を、南に行けば福島県庁だ。福島県庁は、福島城の跡にある。城跡をそのまま県庁にするというのは効率がいいような、逆になんだか味気ないような。そんな県庁の裏側(南側)に流れているのが、阿武隈川だ。福島は、南に阿武隈川が流れ、北に信夫山がそびえる、その間に市街地が広がっている町なのである。
町の規模以上に栄えてきた「福島」
福島は、お城があることからもわかるとおり、江戸時代には福島藩という藩が置かれていた。江戸時代半ばからは一貫して譜代の板倉氏が治める3万石の小藩だ。他にも元城下町という県庁所在地はたくさんあるが、その中で福島藩3万石というのはちょっと小さい。