ダーウィンも真っ青のスピード進化
“プロ野球観戦は楽しい”
「野球観戦は娯楽なんだから、そりゃ楽しいだろ」と、プロ野球にあまり興味がない方は思われるかもしれません。一方、熱心に贔屓球団を応援している方は、こう言われるんじゃないでしょうか。
「いや、そうでもないよ」と。
もちろん勝てば楽しいでしょうが、すべての試合で勝つことは当然ありません。加えて、負けた試合の内容が、援護のない僅差負け or サヨナラ負け or 決勝点を献上するエラーでの負け、もしくはこれらの複合負けともなると──……?
一部では「お金を返していただけますか?」とヤジが飛ぶほど、大きなストレスが発生することでしょう(コラムなのでヤジの内容はマイルドにしています)。
ですが私はあえて今、声を大にして“プロ野球観戦は楽しい”と言いたい。
なぜなら私は、オリックス・バファローズのファンだからです。
色んな方面から大いに反感を買いそうな文章ですが、もうそれでもいいです。実際楽しい。いつ楽しむの? 今でしょ(一周回って新しい)。
楽しさの理由としては、もちろん“強いから” 。
つい先日の9月20日、オリックスは3年連続となるパ・リーグ制覇を果たしました。しかも、試合終盤にツーアウトランナー無しから一挙6点の猛攻で逆転、という派手な勝ち方で。今日勝てば優勝というプレッシャーがある中で。なんだその強さ、どこまで楽しませてくれるんだ。
しかし、この楽しさに至るまでには少々経緯がありまして。「オリックスの経緯なんて知らねぇな」という人向けに、ちょっとお話しさせてください。
下のグラフ、これはオリックス・バファローズの歴代の順位を表わしたものです。
2005年から2020年まで、Aクラスがなんと2回。酸素が足りなくなった時に浮上し、再び深海に潜るマッコウクジラのような地位を確立していました。
つまり、この頃のマッコウクジラファン改めオリックスファンは、“今シーズンこそはAクラスという海面に来るんじゃないかと夢を見ては、再び海中に沈んでいく姿に落胆”のサイクルをほぼ毎年繰り返していたわけです。
ところが「そろそろ再浮上してくれないと窒息しちゃうよ……(ファンが)」という声もちらほら出始めた2021年、チームはAクラス入りをすっ飛ばしてリーグ優勝を果たしました。
これには私も度胆を抜かれました。「お前陸上で生活できたのかよ」と。
このように、突如として陸上生物へ進化を果たしたオリックスは、続く2022年には日本一、2023年は前述した通りのパ・リーグ3連覇と、陸上生活を謳歌し続けています。
おぉ……ダーウィンも真っ青のスピード進化。こうなってくると、メディアやインターネットも2020年までとは一変、オリックスを強豪チームとして扱い始めました。
たしか話の最後、のび太は色々あって元の生活に戻るのですが、オリックスは元の弱い時代に戻っていません。やったね。