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リーマンショックの影響で男性の申し込みが減少

ーー申し込みの男女比などで、時代を反映した変化などはありますか。

植草 私が始めた頃は、まだ男性のほうがちょっと多いかなというぐらいだったんです。ただ2008年のリーマンショックから半年ぐらい経って、2009年あたりから徐々に女性のほうが増えてきて、今は女性のほうが多いです。

ーーそれはどう見ています?

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植草 やっぱり、経済ですね。リーマンショックの時って、皆さん職を失ったりとかいろいろあったわけですよ。それで自信が持てなくなった。男性が女性を養っていこうとか、子供を育てようとか、そういった自信がなくなってきたわけです。

 本来は男性1人で稼ぐ必要なんてないんだから、そんなに気負わなくてもいいんですけれども、やっぱり男性は親御さんから「男なんだから」「男だったら」と言われて育ってきているところがあると思うんです。

 それで「自分が女性よりも稼がなきゃ」といった意識があったけど、リーマンショックで自信がなくなってしまった。そのまま経済も低迷していますから、男性はそれまでのような感覚で結婚に向き合えなくなって男性の申し込みが減っていったんですね。

 

ーー女性の増加も、経済的な背景が。

植草 女性は安定志向なところがありますからね。でも、男性はそれを受け入れづらい時代になっていて、男性のほうが女性に求めるものが大きく変わっています。いまは男性も女性に対して、頼りがいを求めるようになったんですよね。

社内恋愛がなくなり、出会いや結婚のチャンスがなくなった

ーー「男らしさ」「男たるもの」を捨てることができて、ある意味で健全な世の中になった気がしますね。

植草 そうだと思います。やっと、本来あるべき姿になったかなと。

 先ほどもお話しましたが、やはり親御さんの影響も大きいんです。30代ぐらいの男性の親御さんだと専業主婦の時代でしたから、働いていないとその考えがお子さんにも伝わってしまいますよね。「ママの時代はね」と、いろいろおっしゃってしまう。

 

 本来あるべき姿になったけれど、その一方で難しくもなっているんです。男性も女性も、「夫婦で働いて、家事も育児も一緒にやろうね」という感覚なのに、そこへ親御さんが入り込んで「なんで、奥さんがご飯を作らないの?」とおっしゃるわけです。一方、女性の親御さんは「なんであなたの旦那さんは養えないの?」とおっしゃったりする。これがものすごく入り混じっていて、非常に難しいです。

ーー過渡期ですね。

植草 昭和の時代は、お見合い結婚が多かったんです。その後、自分たちで自由に恋愛するようになったことで、自分をプロデュースしなきゃいけなくなってしまったのです。今は、結婚にあたって各自が自己プロデュースする時代になりました。

 先ほどもお話しましたけれど、町の仲人さんがいなくなられただけでなく、親御さんが子供の結婚に口を出されなくなったこともあります。