79年前の8月14日、日本はポツダム宣言を受諾し、太平洋戦争が終結した。しかし、沖縄だけは15日以降も戦闘状態が続き、正式に降伏調印式が執行されたのは9月7日のことだった。さらにその後27年の間、アメリカの統治下に置かれ続けることになる。沖縄戦や戦後の沖縄について考えを深めたい。

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 大阪市在住のホリーニョさん(@horinyo)は、沖縄戦に巻き込まれた住民たちの白黒写真をカラー化したものをSNSに投稿し続けている。多くの写真に写っているのは、当時の沖縄で暮らす女性や子どもたちの姿だ。

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1945年4月4日 米軍の沖縄本島上陸4日目。米軍が設置した病院にて。女性患者たち(沖縄県公文書館所蔵/ホリーニョさん提供)

「こんな人たちが戦争に巻き込まれたという想像力」

「沖縄戦の写真というと、家を戦車で壊していたり火炎放射器を持った米軍が映っていたり、信じれられないくらい残酷なものが多くあります。それを白黒写真で見ると尚更、現代に生きる自分たちとは無関係で遠いことだと思ってしまいがちですよね。

 沖縄戦について知らない人に伝える時に、どこかで“自分たちと繋がっているんだ”って思えないと、関心は高まっていかないのかなと思ったので、私の場合はできるだけ共感を生めるようなものを選んでカラー化しています。女性や子どもの写真を選ぶのは、もっとも戦争に翻弄された人々だと思うからです。

 もちろん、インパクトのある残酷な写真を見て学ぶことも大事ですが、一方で『こんな人たちが戦争に巻き込まれたんだ』という想像力や知識をゆっくりと積み上げていくことも、より沢山の気づきや学びを得れるんじゃないか、という考え方に基づいて活動しています」(ホリーニョさん)

1945年4月12日 米軍から配給される食料を受けとる少年。米軍上陸後の沖縄本島、捕虜収容所にて(沖縄県公文書館所蔵/ホリーニョさん提供)
元の白黒写真(沖縄県公文書館所蔵)

 活動を始めたきっかけは、2016年に公開された片渕須直監督によるアニメーション映画『この世界の片隅に』を見たことだという。1944年の広島県呉市に嫁いだ女性、すずを主人公にしたこの映画も、戦中の何気ない生活とそれを脅かす戦争の影を描いた作品だ。

「もともと戦争や歴史に興味はありませんでした。でも『この世界の片隅に』で、それまで白黒写真で見ていたような戦前の広島の街並みが、アニメーション映像の中でカラー化されているのを見てすごく衝撃を受けて、自分もそういう活動がしたいなぁと思うようになりました。

 同じ頃、渡邉英徳先生による太平洋戦争のカラー化写真をTwitterなどで拝見していて。先生が沖縄タイムスや朝日新聞と連携しながら進めていた『沖縄1935』という白黒写真集のカラー化プロジェクトに着想を得ました。渡邉先生がカラー化された写真以外にも、沖縄戦や戦後の白黒写真が沢山あることを知って、これらをカラー化してみたらどうかな、と」(同前)

 そんなホリーニョさんは兵庫県出身。一見、沖縄とは縁遠いように思えるが、どうして沖縄戦に注目したのだろうか。