「沖縄戦や基地問題のことが本土側に伝わらない」
「90年代に高校の修学旅行で初めて沖縄に行って、会社員になってからも毎年のように沖縄に訪れていました。『この世界の片隅に』や渡邉先生の写真に影響を受けて、自分の興味関心はどこにあるのかなって沖縄の戦跡や博物館、写真展などを巡って探す中で、沖縄戦や基地問題のことが全然本土側に伝わっていかないことに問題意識を抱くようになりました」(同前)
写真をSNSで公開するのは、そんな活動の大事な軸になっている。2019年に初めてX(旧Twitter)で写真を公開した際は、ほとんどフォロワーがいなかったにも関わらず、多くの人から反響があって驚いたという。
「いいねやインプレッションに加えて、『多分この写真ってこういう意味だよね』『ここに写ってるのってこういうことだよね』って、リプライとか引用リツイートで、情報をどんどん乗っけてくれる動きがありました。
たとえば、沖縄の女性が手の甲に入れ墨を彫る『ハジチ』という文化があるんですけど、『ハジチが写ってるな』と思いながらも説明せずに写真だけ載せたところ、『これはハジチだ』とみんなが解説してくれたこともあって。
SNSにアップすることで自分自身も勉強になるんです。沖縄にまつわる活動をされている方や知識を持っている方と交流しながら進めていくことは、自分が大事にしているスタンスでもあります」(同前)
近年AIを取り巻く状況が変化する中、技術の進歩は実感しているが、活動の軸にしている「本土の人に沖縄のことを伝えたい」という目的に対して課題も感じている。
「活動を始めて5年になりますが、日々難しいなぁと思っています。私のアカウントは沖縄県の方々がたくさんフォローしてくださっているのですが、一方で県外の方には届きづらいということも実感しています。
それでも、私のカラー化写真がきっかけで沖縄をテーマにした本を読む人が増えたり、沖縄の歴史や現在おかれている状況について、少しでも認知や理解が広まったら嬉しいなということが、活動を続けるモチベーションになっています」(同前)
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