「統一は別にしなくていい」
南北統一について訊くと反応はさまざまで、10~30代は「統一は別にしなくていい。自由に行き来できればそれで十分じゃないですか。経済的に負担させられて苦労するのはご免です」(20代大学生)というものがほとんどで、50代の会社員もやはり「共存していく形がベストでしょう。無理に統一する必要はないと最近考えるようになりました。思想も違いますから。ただ、交流は推進するべきで、交流が一般化されれば不動産などでのビジネスチャンスが生まれる可能性もある」と話していた。
朝鮮半島の感情の“コード”を読み取ることは難しい。あれほど核やミサイル実験が繰り返されても決して韓国に向けられたものではないという確信がどこかにあり、独裁者のイメージも同じような感情のひだに触れてがらりと変わる。そして、当たり前のように統一を望んでいるかと思えばそう単純なものでもない。
金正恩は「豊かな国」のトップになりたい
南北首脳会談の翌日の4月28日、トランプ米大統領は遊説先のミシガン州で「ノーベル! ノーベル!」の歓呼で迎えられ、まんざらでもない様子だったと伝えられた。北朝鮮の非核化を実現してノーベル平和賞を受賞するという意味で、これを受けてか、第1回南北首脳会談を行った故・金大中元大統領夫人からの祝電でノーベル平和賞について言及された文在寅大統領は、「ノーベル平和賞はトランプ大統領が受け取るべきだ」と持ち上げてみせた。
韓国の北朝鮮専門家が語る。
「金正恩委員長は、スイスの留学時代、バスケットボールの試合で負けると、なぜ負けたのか、徹底して分析したという逸話があります。緻密性を備えているということです。これまでの一連の動きもつぶさに見れば非常に緻密に組み立てられている。
また、故・金正日総書記は自国を貧しい国だと一度も認めたことがありませんでしたが、金正恩委員長は2012年の初めての演説で『人民に空腹な思いはさせない(ベルトを二度と締めさせない)』と話したように、北朝鮮が貧しい国だということを認めています。核開発を急いだのは、核を担保に対話を引き出して、他国と交流しながら、是が非でも経済を発展させたいと思っていたからと分析されます。
彼は豊かな国のトップになりたいのです。グローバルスタンダードという点についても非常に関心が高い。
日本では南北首脳会談の結果について相変わらず懐疑的な見方が大勢なようですが、金委員長は次のステージに入っている。対話、経済発展へシフトしています。そして、経済面で日本は絶対に外せない交渉相手です。情勢を冷静に見極めてほしい」
Numerous countries are being considered for the MEETING, but would Peace House/Freedom House, on the Border of North & South Korea, be a more Representative, Important and Lasting site than a third party country? Just asking!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2018年4月30日
今月末か6月初めに行われる米朝首脳会談は当初、シンガポールやスイスなどが候補地として浮上していたが、トランプ米大統領は4月30日、自身のツイッターで南北首脳会談が開かれた「板門店」について「第三国よりも重要な場所じゃないか?」と言及した。
米朝首脳会談を前に、5月9日には日中韓首脳会談が開かれる。
大きく動こうとしている朝鮮半島を巡り、日本はどう動くのか。