――今年も慶應は「慶應箱根駅伝プロジェクト」を行っており、クラウドファンディングでは900万円以上を集めるなど、駅伝強化への本気度が窺えます。ただ残念ながら貝川さんの選手としてのラストイヤー、99回大会では予選敗退、貝川さんは学生連合への招集がかかりました。
貝川 はい。1年生の頃から本気で箱根本選を目指してたので、4年生の予選会――ショックすぎて正確な順位も分からないのですが――で、ダメだったときは本当にへこみました。メンバーも良かったし、自分の走りも100%の実力を出せたのに、「このチームで箱根いけないんだ」と思うと本当に悔しくて……これまでで一番悔しかった瞬間でした。
その後、学生連合で選ばれることに。僕のタイムはメンバーの中で、11番目。僕のときはコロナ禍で学校を越えた練習ができず、上から10人が走ると言われました。合同練習が出来ないので、予選会以後の練習は各自大学駅伝部で、その後の伸びや調子なども見られない。希望区間は伝えましたが、そこからどれだけ練習をしたとしても僕は11番目で、走れないんだろうな、という気持ちのまま、12月を迎えることになりました。
大学のコーチは「怪我も出るかもしれないし、本選を走る気持ちで練習を続けなさい」と言ってくれましたが、それも慰めにしか聞こえず、どうやって一人でモチベーションを保てばいいのか、走る意義を見失ってしまったときもありました。そろそろオーダーが決まるという時期になっても連絡がなかったので、やっぱりダメかと思うとメンタルも落ちてしまい、練習でも大幅にタイムが下がったり……。でもコーチが、一度ちゃんと話してくれて、そこから立ち直ってまたモチベーションが湧いてきたころに、怪我をした人が出て、希望の10区で走れることになったんです。