――2023年、トヨタ自動車に入社し、陸上長距離部のマネージャーに。2024年のニューイヤー駅伝では優勝されましたね。

貝川 マネージャーとしてはまだまだ新米で、今年の優勝には何も貢献できていない……という気持ちです。選手時代、主務の方々にはお世話になったと思っている反面、実際にどういった活動をされていたのか、よく知らなかったんです。いまは一から勉強して、「気遣い」が出来る人間になろうと奮闘中です(笑)。

 

――これまでのご経歴とは違う、いわゆる「常勝集団」「スター軍団」の中に入られて、中から見ると景色に違いはありましたか?

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貝川 最初、僕はすごく浮いちゃうんじゃないかと思ったんです。「勝つのが当たり前」という期待をかけられるチームってどんなんだろう、という興味もありました。

 実際に入って気づいたのは、彼らもまた、同じように挑戦し続けている人たちなんだということです。勝ち続けるって簡単じゃなくて、驕らず、満足せず、常に挑戦して、次へ次へと動き続けている。

 それを見ていると、チームのレベルというのは関係ないんだなと思います。同じ人間というか、同じ一人の選手なんだな、と。チームの意識とかは変えられる要素だと思うし、だとしたら、慶應や常連じゃない大学にも、やっぱりチャンスは等しくあるんだなって。

 大学時代と違って、実業団では選手たちの目標も多様になります。世界を目指す人、マラソンを頑張りたい人……その中で、ニューイヤー駅伝は一つの区切りとして、チームの目標になっています。

 

 僕自身、駅伝が大好きなんですよね。トラックレースと違って、当日の道や天候に何が起こるか分からなかったり、走るのは一人なのに、チームの雰囲気やレースの「流れ」もすごい影響力を持ちます。そういう不確定な要素がある中でタスキをつないでいくのは、やっぱり見ているのも面白いですし、チームスポーツとしてのドラマも感じます。

 だから大学まででやめようと思っていた、陸上競技にいまも関わることが出来てとても嬉しいですし、これまでの縁にも感謝しています。母校の慶應大学、今年のチームはすごくいいんですよ! 2025年の箱根駅伝、ぜひ見ていてもらいたいです。

――10月の予選会が楽しみです。