缶ビールや瓶を投げられ、「日本に帰れ!」と叫ばれ…

――具体的にどんな場面で「マイノリティ」だと感じましたか。

小林 空港のイミグレーションでも意地悪されましたね。別室に連れていかれて、なんの問題もなくても1時間くらいずっとそこにいさせられたり。イミグレーションの担当者が白人だと時間をズラしたりしてました。もちろん白人でも普通に接してくれる人もいますし、差別的な考えで嫌なんですけど……。

 大会で僕が入場してくると、缶ビールや瓶を投げられます。街中を歩いていると「Go back Japan!(日本に帰れ!)」って叫ばれることはしょっちゅうでした。

ADVERTISEMENT

 

――日本に戻りたいとは思いませんでしたか。

小林 やりがいはありましたからね。逆に応援してくれる人は本当に心から応援してくれる人たちだから。プライド・パレードのときには、当時大統領選に出馬していたヒラリー・クリントン陣営と一緒に歩きました。僕が主催したホットドッグパーティにニューヨーク州知事選への出馬を表明していた俳優のシンシア・ニクソンが来てスピーチしてくれたこともありましたね。

――『セックス・アンド・ザ・シティ』のミランダ役でも知られるシンシア・ニクソンですね。ご自身がアメリカの政治まで背負ってしまっている状況に戸惑いはなかったですか。

小林 いや、もうずっと応援してもらっていたから自然にそうなっていったんだろうなと思います。戸惑うというよりは、もっと頑張らなきゃなという思いのほうが強かった。2009年からのオバマ政権でマイノリティライツが前進して、今度はトランプに代わって……。その辺りのアメリカが二分されていく時代にずっといましたから。

――今回の大統領選はどういう思いで見守っていらっしゃったんですか。

小林 そうですね。ちょうど引退して日本に戻ってきたタイミングだったので、少しアメリカから離れて見ながら、「ああ、これからまた4年間厳しいだろうな」と思っています。

 

 この間アメリカ人の友だちに「アメリカが懐かしいか?」って聞かれて「懐かしいよ」って言ったら「なんでだ! あんな国」って怒られました。「こんないい国に住んでいて、なんでアメリカミス(miss)するんだ」って。僕の周りの人は、トランプが大統領に決まってからだいぶ雰囲気が落ちていますね。

撮影=三宅史郎/文藝春秋

2025年1月の読まれた記事 結果一覧

1位:米津玄師でもMISIAでもない…圧倒的インパクトで「紅白歌合戦で一番よかった歌手」1位を獲得したのは?
https://bunshun.jp/articles/-/77193

2位:「コタツの中で強引に足を広げられて、無理やり…」小5で“母親の彼氏”から“おぞましい性虐待”を受けた24歳女性が明かす、性被害のトラウマ
https://bunshun.jp/articles/-/77192

3位:「水着姿なんて絶対出したくなかった」発言から8年…『御上先生』教師役の吉岡里帆(32)の“正念場”
https://bunshun.jp/articles/-/77191

4位:「大食い界のプリンス逮捕」の真相は…フードファイター小林尊(46)が目の当たりにした“米国のリアル”「ビンを投げられ、日本に帰れ!と…」「声をあげないと、ないものにされてしまう」
https://bunshun.jp/articles/-/77190

5位:《懲役23年》「親を殺されるか、ヤラれるか」嫌がる女性タレントの乳首をカッターで切り取ろうとしたことも…暴力とレイプで関係者たちを支配した「芸能事務所社長の末路」(2017年の事件)
https://bunshun.jp/articles/-/77189