「必ず適正な価格に戻ると思っています」
――備蓄米の放出が遅れた。
「どう考えても米が足りない状況ではない。どこかで目詰まりしているのではないか。必ず適正な価格に戻ると思っています」
――今も減反を進めているのでは。
「減反ではなくて、適正消費量にあった米作りをしましょう、と」
――JAの意向は強い?
「今はそんな時代じゃない。農協に米が5割も集まらない時代ですから」
森山氏と同じ鹿児島県選出の野村元農水相への支援はさらに手厚い。16の鹿児島県のJA関連団体などから、3年間で3065万円の献金やパー券収入が確認できた。
「野村氏はJA鹿児島中央会に35年間勤務していた筋金入りの農林族。安倍晋三政権下の15年に小泉進次郎氏が党の農林部会長として農協改革に乗り出したことがありましたが、小泉氏の後任となった野村氏は改革路線を骨抜きにした」(経済部記者)
最も支援されていたのが組織内議員の藤木元農水政務官。全国農協青年組織協議会の元会長で、22年の参院選全国比例区で18万票を獲得し2度目の当選を果たしている。JA関連団体からは、全国農政連(全国農業者農政運動組織連盟)からの寄付を中心に9199万円が渡っていた。野村氏、藤木氏両名に尋ねたところ、献金によって政治活動が左右されることはない旨の回答があった。
票とカネで粘度強く絡みついた、農林族とJAとの“コメ癒着”。これを前に、リーダーシップを発揮できずに立ち往生しているのが石破首相である。石破首相にJA団体側からの献金は見当たらなかったが……。政治ジャーナリストの青山和弘氏が指摘する。
「石破首相は農林族の中では異端児で、以前から減反政策の廃止が持論。今回も『米の価格高騰は日本の農業政策を転換するチャンスかもしれない』と語っていた。ただ、党内基盤の弱い石破首相に思い切った改革ができるかは未知数です」