時を同じくして、その権力と比例するかのように日枝氏の資産は増えていった。

 現在、日枝氏はフジの株を23万株所有しており、評価額は約4億6000万円(1月27日時点)。また配当だけで毎年約1100万円が懐に入る計算だ。

 杉並区の閑静な住宅街。500平米を超える広大な敷地に地上2階、地下1階の豪邸が完成したのは、フジが株式上場する前年、96年5月のことだ。1億円の抵当権は11年間で抹消し、現在の資産価値は約5億5000万円に上る。

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 2009年12月には杉並区内にある高級マンションの一室を約3億5000万円のキャッシュで購入。株、不動産資産だけでも日枝氏の資産は13億円を超える。

日枝氏の大豪邸

 日枝氏の力の源泉は、その財力と人事権に留まらない。政財界に張り巡らされた人脈も武器の1つである。2022年7月、日枝氏の姿は渋谷区富ヶ谷の邸宅にあった。

「安倍晋三元首相が銃撃され、遺体が自宅に運ばれた際、いち早く駆けつけたのが日枝氏でした。2人はお互いに河口湖畔に別荘を持つゴルフ仲間で、生前は富士桜カントリー倶楽部を一緒に回ることも多かった」(永田町関係者)

フジの人事を掌握していた

 会長を経て、2017年に取締役相談役に退いたが、日枝氏の権力が錆び付くことはなかった。人事支配の恐怖について打ち明けるのは、元プロデューサーである。

「大阪・北新地には、日枝さんが行きつけのクラブがあります。日枝さんはその店のホステスを気に入っていて、関西を訪れるたびに足繁く通っていた。実は、この女性は日枝さんの人事の相談役と言われ、彼女に嫌われたら飛ばされるなんて話も飛び交うほどです」

 前出の岩佐氏は、こう語るのだ。

「社長になったときは会社が明るくなるという雰囲気があったことは覚えています。その後、権力欲に走ったのか、それは僕にはわからない。ただ、話を聞く限り、今の日枝さんは僕らが知っているキュウさんではない。“何か”が彼を変えたんだと思います」

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