食事で病気の治療はできない

一方、食材や食事によって、病気などの予防や治療ができるという説もありますが、あまりいいことではありません。実際に何かを食べるだけで病気の予防や治療はできませんし、必要な治療が受けられなくなるリスクがあるためです。

例えば、SNSのXでは、ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の症状が落ち着くという「食材の早見表」が投稿されていましたが、生まれつきの特性が食べ物で変わることはありません。

医薬品や治療法の場合、「効果がある」と主張するには、症例と対照例を比べてリスク要因に差が出ないといけません。「ブロッコリーは、目の痛み・乾燥、イライラに効果がある」と言うためには、そういった症状のある人とない人、その食品をとった場合ととらない場合を比べて統計学的に差が出る必要があります。

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健康のために「旬の食べ物を食べよう」だったらまったく問題ないのですが、「○○に効果がある」というのは言いすぎです。同じ早見表でも、病名や障害名をつけたほうが「表示数」が伸びるので、あえてつけているのでしょう。

ホメオパシーやアロマのリスク

なるべく自然なもので、自分が治してあげたいという思いから、ホメオパシーを選択する人もいます。ホメオパシーは、ドイツ人の医師・ハーネマンが始め、1700年代後半に発展しました。病気の原因物質を10の60乗も希釈して振った水を含ませた砂糖玉「レメディー」で病気を治すとしていますが、それほどまで希釈を繰り返すと元の物質はなくなり、ただの水です。それが病気を治すというのは科学的にあり得ません。

海外では、歯の生え初めの不快感をなくすレメディーに有毒物質・ベラドンナが含まれていたり、液体ホメオパシー製品にアルコールが含まれていた例もあります(※3)。また日本では、Instagramに「子どもが溶連菌感染症になったけれど抗菌薬を飲ませたくない」という保護者にレメディーをすすめているアカウントがありました。溶連菌感染症に抗菌薬を使用しないと急性腎炎などの合併症が起こるかもしれないので危険です。また以前には、ビタミンKの代わりにレメディーを与えられた乳児が亡くなった例もあります(※4)。ホメオパシーと標準医療の併用ならかまいませんが、標準医療の代わりにホメオパシーを行うのはやめてください。