※1 UNICEF「欧州・中央アジア、はしか感染急増、12万7350件と過去25年で最多 ユニセフら緊急対策を呼び掛け
※2 CNN「はしか感染拡大、ケネディ米保健長官はワクチンではなくビタミンA重視 SNSの誤情報に懸念

自然なもので手当てをしたい気持ち

コロナ禍を経験した私たちは、普通の風邪と違って自然治癒を待つだけでは命に関わる感染症があること、普段の生活の中で免疫力を上げて感染を防止することには限界があることを身をもって知りました。

それでも、子どもが体調不良に陥ったときに「できるだけ自然なもので手当てをしたい」「なるべく医療や薬には頼りたくない」という保護者は少なくありません。その気持ちもわかりますが、Instagram(インスタグラム)やX(エックス)などのSNS投稿を見ていると、例えば高熱が出た子どもにキャベツを帽子のようにかぶせるといいとか、発熱時に顔が赤くなるのは自然なことだから顔が青くなるまで家で様子を見て大丈夫などといった根拠不明な情報が多数出てきます。どれも医学的に正しくありません。

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先日は、子どもの咳を鎮める方法として「アルミホイルを絆創膏で中指に巻く」「玉ネギの断面を嗅がせる」ことが紹介されているのを見ました。もちろん、効果はありません。それどころか前者の場合、特に小さい子はアルミ箔を誤飲する可能性があって危険です。後者の場合、ただでさえ咳が出ている子どもの目や鼻の粘膜を玉ネギの硫化アリルが刺激し、涙や鼻水がひどくなるのでやめてください。そのほか皮膚に食品を塗る方法もありましたが、アレルギーのリスクがあるのでよくありません。

SNSで知った方法を実践してみてもいいのですが、それは効果は不確かなものの害はなさそうな場合だけ。「自然」に見える治療法で害が出たり、医療機関にかかるのが遅れたりしたら、それは治療法ではなく、ただの「やってはいけないこと」です。