日本を動かす官僚の街・霞が関から“マル秘”情報をお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「霞が関コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。
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NHKの“品質保証”
〈このメンバーであれば、引き続き自信を持って成果を出していける〉
4月22日、理事人事の発表に際して、そうコメントを出した稲葉延雄会長。月内に任期満了を迎える根本拓也理事(昭和62年入局)、寺田健二理事(平成2年)、そして竹村範之専務理事(昭和54年)の3名を再任した。だが、胸を張る稲葉会長とは裏腹に、同日、古賀信行経営委員会委員長は周囲にこんな本音を漏らしていた。
「ハッキリ言って、経営委員会では、理事の“品質保証”はできないよな」
そもそも理事人事は、会長が人事案を作り、最高意思決定機関に当たる経営委の同意を得て決定される。12人いる委員の満場一致が慣例とされ、今回も根本氏と寺田氏の再任には全員が賛成。ところが竹村氏については、3人の委員が反対したのだ。「稀ではあるが、過去にも反対者が出た例はあった」(同局局員)というが、前兆はその2週間前からあった。
近年、理事人事は4月の第2火曜日に開催される経営委で決定されてきた。「今年は4月8日に当たり、理事たちですら、直前まで8日に決まると思っていた。まさに寝耳に水の事態」(同前)という。
2021年にも安倍政権の意向を汲む板野裕爾専務理事(52年)を退任させる人事案がひっくり返ったことがあった。この時は、前田晃伸会長が経営委に提出する前に当初の人事案を撤回したとされる。ところが今回は、「稲葉会長が経営委に提案したのに決定されず、審議が持ち越された」(同局関係者)。
管理系職員として入局し、経理畑などを歩んだ竹村氏。経営企画局長を最後にNHK文化センター社長へと転じ、一昨年、専務理事へとカムバックした。
再任反対の背景は、「昨年度、受信料関係の営業基幹システムを巡って計上した約30億円の特別損失が影響したのでは」(同前)などと、様々に取り沙汰されてきた。だが、理事人事当日に注目されたのは、同時に発表された、放送センター建て替え工事の大幅な見直しである。
《この記事の続きでは、NHK予算に起きた異変を紹介しています》
※本記事の全文(約5500文字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年6月号に掲載されています(霞が関コンフィデンシャル)。全文では、下記の内容をお読みいただけます。
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■連載「霞が関コンフィデンシャル」
【2024年】
1月号 アラビスト不在の外務省、空中分解する官邸官僚、診療報酬改定の黒幕、静寂に包まれる日銀本店
2月号 国会審議に赤信号、「三羽ガラス」の行方、未だ残る安倍銃撃の余波、女性初の海将が誕生
3月号 オール霞が関で復興へ、対トランプのキーマン、痛み分けの診療報酬改定、「政治部独裁」のNHK
4月号 財政健全化への新目標、人口減に向け本格始動、新体制の宮内庁、愚痴る首相側近
5月号 「ミスター円」の将来、“女傑抜擢説”の裏側、「復活組」の活躍、異能のアラビスト
6月号 令和のモーレツ官僚、脱原発の知恵袋、準キャリアのエース、サイバー新組織の陣容
7月号 官僚たちの選挙戦、「改革派」の真価、処分を克服できるか、新御用掛の安定感
8月号 政権を去る「恐竜」、波紋を呼んだ中企庁長官、新・プリンスの実力、オールジャパンの真価
9月号 処分を逃れた「巨悪」、財務次官の系譜、女性検事総長への嘆息、長官レースの号砲
10月号 新秘書官の本命候補、「脱・警察」となるか、「イトウ違い」の裏側、旧自治省の“復権”
11月号 新総理との距離感、原発再稼働の勝負所、少子化対策のキーマン、高専出身次官の力量
12月号 不安漂う首相秘書官、首相肝いりの官房副長官、間合いを詰めた金融庁、相次ぐ県警不祥事
【2025年】
1月号 「壁」を巡る同期の攻防、「岸田議連」の火種、元首相秘書官に“赤紙”、1年延期の新次官
2月号 野党対策の黒子たち、官邸に漂う閉塞感、総務官邸官僚の実力、次期警察人事の行方
3月号 経産省が込める“実弾”、新次官と首相の距離、財務相を支える女性たち、インサイダーの“余波”
4月号 財務省の“切り札”、森山印の次官レース、日米会談の余波、燃え盛る厚労省
5月号 試される牛若丸、パワハラ騒動の余波、多士済々の5年組、プロパー会長の行方
6月号 今回はこちら
