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★アラビスト不在の外務省
パレスチナ情勢を巡り、外務省の情報収集・分析力に疑問の声が上がっている。第一報の遅れに加え、長岡寛介局長(平成元年入省)率いる中東アフリカ局の見通しの甘さも指摘される。
当該地域ではイスラエル、サウジアラビア、カタール、イラン、エジプトの各大使館が情報収集の拠点だ。従来は中東アフリカ局長を務めた上村司元駐サウジアラビア大使(昭和56年、現・中東担当政府代表)の存在が大きかった。アラビスト(アラビア語研修組)出身の上村氏は、アラブの各部族の言語に通じ、人脈にも定評があった。だが「ポスト上村」のアラビストはおらず、情報収集力の低下は否めない。
皺寄せを受けたのが今夏の人事異動で駐韓大使に決まった水嶋光一イスラエル大使(60年)だ。2度ソウル勤務を経験した同氏は1日も早い着任を心待ちにするが、未だ果たせていない。本省からゴーサインが出ないのだ。パレスチナ情勢の先行きが不透明なことと無関係ではないという。
11月下旬に「4日間戦闘休止・50人の人質解放」合意が実現した要因は、バイデン米政権がイスラエルのネタニヤフ首相に戦闘の一時休止を強く働きかけただけでなく、ハマスに影響力を持つカタール政府にも仲介を要請したことにある。ミッションを担ったのはウィリアム・バーンズ米中央情報局(CIA)長官だ。同氏はイスラエル諜報特務庁(モサド)のダビデ・バルネア長官と協議を重ねた上でカタールの首都ドーハ入りし、ハマス説得に成功したとされる。
こうした経緯を知った岸田官邸はますます緻密且つ大胆な交渉ができる秋葉剛男国家安全保障局長(57年、外務省)への依存を強めよう。ちなみに秋葉、バーンズ両氏は水面下で定期的に接触している。
外務省では人知れず、別の問題も起こっている。大使に同行する料理人の不在だ。通常、米・英・独・伊など主要7カ国と中韓、ロシア大使は和洋2人の料理人の同行が認められている。ところが、新たに着任した山田重夫駐米大使(61年)は洋食料理人が未定のままだったとされる。
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