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あの日経が「夜の五輪」を提案 森喜朗「サマータイム」騒動とは何か

ミスター・サマータイム 森喜朗を、もう一度考える

2018/08/10
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真面目な日経がまさかの「夜の五輪」提案

 こんなことだから、日経新聞の一面コラム「春秋」(7月24日)は「開催を勝ち取るための方便だった、などといって済ますわけにはいかない」として、「こうなったら、すべての競技を夜中に行うオールナイト五輪ぐらいの覚悟が要るのかもしれない」と書いた。

 まさに「夜のオリンピック」である。週刊誌の袋とじ企画みたいな案を日経新聞が真面目に書いたのだ。

©AFLO

 日経は立候補ファイルの内容を「方便」と控えめに書いたが、この暑さをみればウソをついてプレゼンしたことになる。

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 実はサマータイムは日本で実施されたことがある。1948年(昭和23年)にGHQ(連合国軍総司令部)の指示で導入されたが定着しなかった。

「占領軍が導入した時は寝不足や残業増の元凶とされ、講和とともに廃止された」のだ(毎日新聞「余録」8月7日)。

サマータイムで残業増?

 ここでザワザワするのが「残業増」というキーワード。

 日照時間が長くなったぶん余暇を楽しむのが諸外国だろうけど、日本の場合はそのまま労働時間が増えたという「過去の実績」があるのだ。

 先の国会で働き方改革関連法が成立し、残業規制が強化されたことはサマータイムに追い風と産経新聞は説明するが果たしてそうだろうか。

首相官邸HPより

 とくに高度プロフェッショナル制度に該当する人はどうなのだろう。

 日が長くなった分、はたらかせ放題になる可能性はないか。成果を上げても日が高い時間に帰宅するのは気が引けないか。サマータイムと働き方改革は相性が悪そう。

 そもそもこれだけ「多様な働き方」と言ってるのに、ヨーイドンでみんなで2時間早めようねって矛盾してる。どうしてもと言うなら森喜朗一人で導入したらどうだろう、サマータイム。