その病気は薬のせいかも?

症状からわかる「副作用」一覧付き

秋下 雅弘 東京都健康長寿医療センター 理事長・センター長
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認知症と診断されるケースも

 年齢を重ねるごとに増えていく薬の種類。その付き合い方に悩んでいる方も多いと思います。

 特に高齢者は身体の不調が増えますから、薬も多くなりがちです。厚生労働省の調査(2020年)によれば、毎日7種類以上の薬を服用している人は、65~74歳で12.9%、75歳以上では24.2%にもなります。

 これだけの薬を飲んでいると、身体に悪影響が出ることがある。昨今、話題になっている多剤服用による身体への悪影響、「ポリファーマシー」と呼ばれる問題です。

 私は「薬は5種類まで」と考えています。昨年まで勤務していた東京大学医学部附属病院老年病科の調査(2012年)でも、薬の服用数が6種類を超えると、約15%の患者に薬物による副作用が起きていることが分かっています。2年間にわたって5種類以上の薬を飲んでいる高齢者の4割以上に、ふらつきや転倒などが起きていることも、私たちの研究で分かりました。

薬は5種類までが基本(写真はイメージ) ©beauty_box/イメージマート

 海外でも、ポリファーマシーは5種類以上の薬で起きた症状のことを指します。この考え方が普及した結果、日本の医療現場では、6種類以上の薬を飲んでいる患者の薬を見直すと、医療保険上加点される仕組みまであるのです。

なぜ薬は増えるのか

 それでも、たくさん薬を飲んでいる患者さんは多い。これだけ問題になっても、なぜ何種類もの薬が処方されてしまうのでしょうか。

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source : 文藝春秋 2025年7月号

genre : ライフ ライフスタイル 医療