
経済学者・成田悠輔氏がゲストと「聞かれちゃいけない話」をする新連載。今回のゲストは、野村万作さんです。
■成田悠輔の聞かれちゃいけない話
第3回 上野千鶴子(社会学者・東京大学名誉教授) ダイジェスト版/完全版 前編・中編・後編
第5回 野田秀樹(劇作家・演出家) ダイジェスト版/完全版 前編・後編
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第9回 仲里依紗(俳優) ダイジェスト版/完全版 前編・中編・後編
第10回 椎名林檎 ダイジェスト版/完全版 前編・中編・後編
第11回 本庶佑(京都大学がん免疫総合研究センター長) ダイジェスト版/完全版 前編・中編・後編
第12回 黒田東彦(前日本銀行総裁) ダイジェスト版/完全版 前編・中編・後編
第13回 Ado(歌い手) ダイジェスト版
地元の先輩後輩
野村 成田さんは東京の滝野川育ちだそうですね。
成田 なぜそれをご存知で……(笑)。 滝野川小学校に通いました。
野村 私は滝野川第一小学校(現・田端小学校)です。
成田 そうでしたか! 滝野川小学校から分かれて滝野川第一小学校ができた、みたいな朧げな記憶があります。小学生の頃はあのあたりにお住まいで?
野村 はい。小学校から五分くらいの田端に住んでいました。
成田 私の亡くなった祖父母も田端の外れに住んでいました。野村さんがちょうど祖父母と同世代の地元の大先輩ということに気づき、なにやら緊張してきてしまいました。
野村 田端ならば本当に近かったですね。

のむら まんさく/1931年、東京都生まれ。重要無形文化財各個指定保持者(人間国宝)、文化功労者。日本芸術院会員。2023年文化勲章を受章。国内外で狂言普及に貢献。
成田 (対談場所となった)この舞台があるお部屋は稽古に使われていらっしゃるとか……。
野村 ここは稽古のための舞台。したがって、お客さんが座ることはないんです。
成田 稽古は毎日決まったルーティンがあるものでしょうか?
野村 玄人のお弟子を稽古する時、素人のお弟子を稽古する時、自分の稽古をする時と、さまざまです。今は自分の稽古をしています。ちょっと難しい役を8月末にやるものですから、それで頭が混乱しています。
成田 初めてやられる舞台でしょうか。
野村 古い曲なんですが、自分がやったことがないものですからね。それがとっても覚えにくくて。『右流左止』という狂言なんです。
成田 ウルサシ、が題名ですか。
野村 そうです。右に流れる、左に止まる。これが本当に変わった狂言でして。ある西国の男が、京都見物に出掛けるんです。その途中、明石で茶屋に入ると、女の店主がお茶を出しながら、あそこが明石の浦だ、あそこが淡路島だ、ここが住吉だとか、教えてくれる。
するとその旅の男が急に「あなた、独り者か?」と聞くんです。実際、彼女は独り者なんですが、そう聞かれた途端に、「ああ、うるさやうるさや」と鼻白むんですね。
成田 あぁなるほど、それで「うるさし」なわけですね。
野村 ところがその男はひるむことなく、そもそも「うるさし」という言葉は……と語源を解説し出す。曰く、権力争いに敗れた「右」大臣の菅原道真が「流」されて大宰府に「左」遷されて「止」められた、とか何とかこじつけめいた話を延々とやる。それをまた茶屋の女がうるさがるという狂言なんですが、これがとにかく長くて、なかなか……。倅(野村萬斎)に相談したら、見本(けんぽん)でやったらいいじゃないか、と。
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