室伏　先日はスポーツ医療についてのカンファレンス（「Sports Doctors Network Conference」）でご一緒しましたね。あのようなイベントに出席されるのは初めてですか？

　成田　初めてでした。金メダリストやレアル・マドリード、レイカーズの医師に混じって、私だけスポーツとも医療とも無関係。語れるのは痛風の予防と対策くらいでした。

　室伏　そんなことないでしょう（笑）。ただ私もスポーツを単なるスポーツとは捉えていなくて、身体を通じた、本来は人類学とかに近いものと思っているんです。

　成田　選手・博士・長官と、室伏さんほどスポーツに全方角から取り組まれてる方っていないですよね。どこでそういう「万物学」的な視点を持つようになったのでしょうか？

　室伏　父（室伏重信氏。日本選手権12回優勝、うち10連覇の記録を持つハンマー投げのパイオニア）の影響かもしれません。父は、体格とか筋力の差を乗り越えて、世界と戦うためにはどうすれば良いかを研究する中で、様々なジャンルにヒントを求めた。ですから私が小さい頃も「光の速度よりも速い乗り物に乗って何万光年も離れた宇宙から地球を見れば……」なんて哲学的な話をよくしてくれました。それでいろいろなことに興味を持つようになった部分はあります。

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