官僚が権力におもねる国家は滅びる
辻田 森友学園への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題は、世間に衝撃を与えました。改ざんが誰の指示で、いつ、どのように行われたのか、多くの謎が残されたままです。3月27日には佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官の証人喚問が行われましたが、佐川氏が真相を語ることはありませんでした。
半藤 証人喚問は、まったく予想通りの内容だったと思います。佐川氏はやっぱり腹を括(くく)れませんでしたね。
保阪 佐川氏はきっと、眠れない日々を過ごしていたと思いますよ。全責任を1人で背負い込めば、安倍政権からは恩人扱いされるでしょうが、歴史には不名誉な形で名を残すことになる。これは官僚にとって大きな屈辱です。結局、彼は「刑事訴追を受ける恐れあり」として証言を拒んだ。「私益」の中に逃げこんだわけです。
辻田 そもそも官僚は公僕ですから、主権者たる国民への説明責任がある。同時に、公文書は適切に保管され、国民に適宜公開されるべきもの。今回の文書改ざんは、その原則が踏みにじられた異例の事態です。
保阪 そうですね。ただ昭和史を紐解くと、官僚がその原則を踏みにじった例は、実はいくつもあるんです。
昭和31(1956)年から36年にかけて、海軍OBで構成される「水交会」の委託を受けた元海軍中将の小柳富次が関係者の証言を集めた「小柳資料」と呼ばれる記録には、こんな記述があります。
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source : 文藝春秋 2018年05月号