行動原理は「誰にも愚か者扱いをさせない」
トランプ外交への不安が高まっている。
第二次政権発足後2カ月余り。関税を巡るカナダ、メキシコとの軋轢から、ホワイトハウス執務室でのゼレンスキー・ウクライナ大統領との衝突に至るまで、新政権の前例のない動きがメディアの見出しを飾らない日はない。
こうした動きは、その一つ一つが関係国に影響を与えるばかりでなく、大西洋同盟や多国間協調など、これまでの国際秩序を支えてきたいくつかの柱に動揺を与えている。戦後秩序が米国の指導力とコミットメントに依存してきただけに、国際社会の困惑は深まるばかりだ。
とはいえ、トランプ外交の現状をどう見るかについては意見が分かれよう。一方において、トランプ外交は極めて特異な政権が引き起こした逸脱であり、米国の外交姿勢の根本的変化を意味しないという、楽観的な見方がある。その一方で、トランプ政権の動向は米国の国力の衰退の表れであり、戦後の国際秩序を支えてきたパックス・アメリカーナは終焉を迎えつつあるとの悲観的な見方もある。
しかし、筆者から見ると、どちらの見方も納得のいくものではない。
軍事力、経済力、科学技術の開発力を含め、いかなる観点から見ても、米国の国力が衰退していると結論付けることは難しい。米国が戦後秩序の擁護者としての立場から後退しつつあるのであれば、それは米国の主体的選択と考えるべきだ。しかし、トランプ外交は今のところ国民の総意に基づく選択ではなく、特異な指導者によって導かれる特異な外交姿勢と言える。
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source : 文藝春秋 2025年5月号