零細農家を守るための政策が元凶だ
「新米が出回るころには、価格は落ち着きますから」
農林水産省が2024年秋に公言した見通しが、ものの見事に外れるまで時間はかからなかった。
コメの相場を示すほぼ唯一の指標は、全国農業協同組合連合会(JA全農)などの出荷団体と卸売業者との間で契約する「相対取引価格」である。同省は、コメの流通に関する情報を載せた「米に関するマンスリーレポート」でそれを毎月公表している。24年産は新米が出始めた9月でいきなり前年同期の約5割高の2万2700円(玄米60キロ当たり)と、過去最高となった。その後も過去最高値を毎月更新し、今年2月には2万6485円に達した。

そんな異常ともいえる高値が家計を直撃していることは、周知のとおりだ。同省は全国のスーパーにおける週ごとのコメの販売価格(5キロ、税込)をまとめ、公表している。それによると、24年の秋以降は販売価格も右肩上がりを続け、今年3月10日の週には4172円に達し、1年で倍額を超えた。
消費者がコメを買う時に最も重視するのは「価格」。一部のスーパーは背に腹は代えられないと、早くも安価なコメを求めて外国産を導入している。
会員制の大型スーパー・コストコは24年6月、カリフォルニア産「カルローズ」の販売を1年半ぶりに再開した。同品種は中粒種であるものの、外観も食感も国産米の短粒種に近く、日本人が違和感なく食べられるとされている。また、西友は同年11月、短粒種である台湾産「むすびの郷」の販売を開始。価格は2797円(当時)で、同社が扱ってきた国産米の平均価格よりも2割安いという。
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