堤家追放 西武76歳会長の執念

緊急特集 名門企業の栄枯盛衰

秋場 大輔 ジャーナリスト

SCOOP!

ビジネス 企業 マネー

なぜガーデンテラスを外資に売ったのか

「赤プリ(赤坂プリンスホテル)は多くの人の記憶に残るホテルでした。その跡地に建てた『東京ガーデンテラス紀尾井町』を売るとは思いませんでした。賃料収入も安定していた物件を外資に売るなんて信じられないし、許せません」

 西武ホールディングス(HD)のOB・OGの多くが憤っている。

 この“謎の売却”から見えてくるのは、「西武グループは誰のものなのか?」という疑問――「西武HDのものは創業家に返すのが当たり前。そうして身を引くのが自分の美学だ」と、かつては言っていた西武HDの後藤高志会長兼CEOと、創業家である堤家との“因縁”だ。

 それを紐解く前に、まずは後藤氏がどんな人物なのかを追ってみる。

 後藤氏は旧第一勧業銀行(現・みずほ銀行)出身。一躍有名になったのは、1997年に起きた総会屋への利益供与事件だ。企画部副部長の後藤氏は、後に作家となる広報マンの江上剛氏らと改革に奔走。行内を立て直した「四人組」の一人と言われた。

 そんな後藤氏が西武HD入りするにあたって橋渡し役となったのは西武百貨店の社長を務めた故・和田繁明氏である。2004年10月に西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載が表面化すると、西武グループの中核会社だったコクドが経営破綻の危機を迎える。そこで和田氏は、西武百貨店を傘下に持つセゾングループを担当していた後藤氏を西武の“天皇”といわれた堤義明氏に紹介。2人は親交を深めていった。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

18,000円一括払い・1年更新

1,500円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2025年5月号

genre : ビジネス 企業 マネー