許永中の告白「イトマン事件の真実」

黒田 勝弘 神田外語大学客員教授・産経新聞ソウル駐在客員論説委員
ライフ 社会 企業

過去の悪行からバブル時代、新ビジネスまで10時間語り尽くした

許永中氏 ©文藝春秋

 黒田 変なことを聞きますけど、韓国語はどれくらい話せるんですか。

 許 うーん、センセイ(黒田氏)の半分くらいかな。

 黒田 日本生まれ、日本育ちの在日2世としては出来る方ですね。どこで勉強したんですか。

 許 ここで暮らしながらの実践です。日本ではNHKの通信講座で少し習いましたけど。ゆっくりならハングルも読めますし、書けますよ。韓国での生活は今年で5年目になりましたから。

 黒田 奇妙なことに今、日本では“バブルブーム”なんです。1980〜1990年代のバブル経済時代に関連する書籍が相次いで出版されるなど、当時を回顧する人が増えています。「許永中」はバブルの時代を象徴する歴史的人物と言っていいでしょう。「闇の金脈」「金融フィクサー」「最後の黒幕」「バブルの怪人」……あらゆるダークな形容句で語られてきました。

 許 なぜそのように呼ばれているのか、自分でも正直よう分からんのですわ。私は金融業をやったことは今まで1度もありません。金融業者はむしろ嫌いです。カネ自体を商品にしようなんて考えたこともない。

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source : 文藝春秋 2018年04月号

genre : ライフ 社会 企業