西武の売却劇の謎、キリン買収三つの不安、あおぞら銀の落とし穴、M&A仲介業への懸念

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★西武の売却劇の謎

 西武ホールディングス(HD、西山隆一郎社長)が、グループの主要施設「東京ガーデンテラス紀尾井町」を年度内に売却する。すでに複数の投資家と交渉中で、売却価格は数千億円規模になる見通しだ。

 ガーデンテラスは、赤坂プリンスホテルの跡地再開発で、2016年に誕生した複合施設だ。施設内の赤坂プリンスクラシックハウスは元々、李王家の邸宅。これをグループ創業者で、衆議院議長も務めた堤康次郎氏が引き継いだもの。西武グループの原点とも言える場所だ。今回、西武HDはこれを売却する。

後藤高志会長兼CEOの意向でしょう。もともと後藤会長と西山社長は第一勧業銀行出身で、後藤会長は西山社長の大先輩。『会長兼CEO』であることが示すように、事実上のトップは後藤会長です」(西武HD社員)

 だがある西武HD関係者は、この売却を「理解できない」と首を傾げる。

 数年前、同社は新型コロナの影響で大打撃を受けた。有利子負債は19年3月期から21年3月期にかけて増大。収益力や投資余力を示すEBITDA(営業利益+減価償却実施費+のれん償却額)は急減した。

 逼迫した財務状況を改善するため22年、ザ・プリンス パークタワー東京など31施設を海外ファンドに売った。売却額は1471億円で、「二束三文とまでは言わないが、格安だった」(西武OB)。

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source : 文藝春秋 2024年8月号

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