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★二大重工の明暗
日本の防衛支出急増などにより、防衛関連銘柄が2023年以降、TOPIXを上回るパフォーマンスを発揮している。その代表格が、防衛省への納入契約高で毎年1、2位に並ぶ三菱重工業(泉澤清次社長CEO)と川崎重工業(橋本康彦社長)だ。だが目下、その2社の明暗がはっきりと分かれている。
川崎重工は7月上旬、取引先企業との架空取引で捻出した裏金が、海上自衛隊の潜水艦の乗組員との飲食代などに流用されていたことが発覚。裏金は十数億円にのぼり、同社は特別調査委員会を設置した。
同社は近年、不祥事が立て続けに起きている。22年に子会社の川重冷熱工業(森宏之社長)が製造・販売した空調システム用機器で38年間にわたり、出荷前検査などに不正行為があったと発表。23年には東京都や環境省などが環境性能を認定する制度で同子会社が虚偽データで申請するなどの不正が発覚した。
一連の問題では、同社の閉鎖的な体質が浮かび上がる。不祥事発表後も会見せず、海自の裏金問題発覚後に橋本社長が一部メディアの取材に応じた程度だ。今回の問題に関わる船舶海洋を含むエネルギーソリューション&マリンカンパニーを統括するプレジデントの西村元彦専務執行役員、コーポレートコミュニケーションなどを所管する山本克也副社長執行役員らも出てこない。会社としての考えを外に伝える機会が少ないのである。
本体の業績も躓いている。23年度決算は、開発に参画する航空エンジンのプログラムで品質問題が発生したことにより、約580億円の損失を計上。防衛省向けの売上げ増を打ち消す結果となった。
「不祥事での社長交代を、会社側は否定しているようだ。ただ、橋本社長が就任して既に4年。今後の調査内容次第で、降りる可能性もあるのではないかとも言われている」(同社OB)
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source : 文藝春秋 2024年9月号