パナ低迷の要因は、JTのジレンマ、日清創業家の責任、ドンキ世襲の行方は

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★パナ低迷の要因は

 パナソニック ホールディングス(HD、楠見雄規社長)の凋落が顕著だ。足元の時価総額は3兆円前後。かつては何かと比較されたソニーグループ(約17兆円、十時裕樹社長)や日立製作所(約15兆円、小島啓二社長)には大きく水をあけられた。国内電機大手7社の中でパナソニックの後塵を拝するのは、事実上の倒産を経験したシャープ(沖津雅浩社長)だけ。パナソニックの“一人負け”状態なのである。

 2021年、パナソニック(現パナソニックHD)の社長に就いた楠見氏は「空調」と「電池」、「サプライチェーン管理ソフト」を重点事業に位置づけた。このうち空調は、省エネ性能が高いヒートポンプ式温水給湯暖房機を欧州で売り込もうとしたが、現地の景気減速で誤算が生じた。

 電池とは電気自動車(EV)向け電池を指すが、同事業を手がけるパナソニック エナジー(只信一生社長)の24年4〜6月期決算の営業利益は前年同期比27%減。米国のEV需要減少で、高級車向け電池を生産する国内工場の稼働率が下がったことが響いた。三つ目のサプライチェーン管理ソフトとは、21年に約8600億円を投じて買収した米ブルーヨンダーが手掛ける事業と言い換えて良い。今期は一応、増益を見込むが、パナソニックとほぼ同時期に新興ITサービス企業・米グローバルロジックを買収した日立は、売上収益の5分の1をグローバル社の事業が占める。「買収の巧拙がもろに出ている」(大手証券アナリスト)。

 楠見氏が重点分野と位置づけた事業で生じた誤算。それがパナソニック低迷の原因のように映るが、有力OBは「それは結果論でしかない。楠見君が社長になって実行した最初の大仕事である持株会社化が諸悪の根源だ」と指摘する。

 楠見氏は22年、パナソニックを持株会社化した。これに伴い、経営判断を早めるべく事業会社に権限を大幅に移したが、「以来、事業会社への持株会社のグリップが効かなくなってしまった」(同前)。

「事業会社間の横の連携が取りづらくなり、シナジーが生み出せていない。ブルーヨンダーが手掛ける事業は、重点事業にもかかわらずパナソニック コネクトの樋口泰行社長にお任せ。楠見社長はコントロールできていない」(現役幹部)

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source : 文藝春秋 2024年10月号

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