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★日産・内田社長の迷い
日産自動車(内田誠社長兼CEO)の先行きを危ぶむ声が急速に広がっている。きっかけは2024年4〜6月期決算だ。営業利益が前年同期比で99%減のわずか10億円だったためだ。23年度の内田社長の役員報酬は6億5700万円、スティーブン・マーCFOは6億7600万円だ。2人の報酬の合計は、直近決算の営業利益を上回ることになる。「CEOやCFOとして相応の仕事をしていれば文句は言わないが、この数字では給料泥棒としか言いようがない」と、ある日産幹部は嘆く。
原因は商品力の弱さにある。トヨタ自動車(佐藤恒治社長)とホンダ(三部敏宏社長)が北米をドル箱にしているのに対し、日産の北米地区の営業損益(24年4〜6月期)は209億円の赤字だったことが、それを象徴している。車が売れていないのに、トヨタやホンダより、多額の販促費をつぎ込んでいるのだ。
「日産は、日本勢で先行したEVに活路を見出すしかない」と、自動車業界関係者の多くは口にする。それゆえ、8月に発表したEV分野でのホンダとの提携を「現実を踏まえた将来戦略」と評価する声も多かったが、実際にはそんなに褒められた話ではない。
「提携はホンダ側が持ち掛け、三部社長は、両社の本社が関東にあるため『トヨタに対抗する関東連合の誕生だ』と息巻いたと言われている。だが、徐々にすれ違いが浮き彫りになっている」(自動車業界関係者)
提携の骨子は、次世代SDVプラットフォームの基礎的要素技術に関して、日産とホンダが共同研究をするというものだった。
「そのため両社は共同出資会社を作る計画だったが、互いのプライドがぶつかり合って、取り止めになってしまった」(同前)
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source : 文藝春秋 2024年11月号