三浦朱門、船村徹、岡野俊一郎、藤村俊二、ディック・ブルーナ

蓋棺録

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 作家の三浦朱門(みうらしゅもん)は、小説家として活躍するいっぽう、文化庁長官などの公職も堂々と務めた。

 1985(昭和60)年、文化庁長官に就任したとき、「選任された理由は何だと思いますか」と聞かれ、「曽野綾子の亭主を30年やってる実績が買われたんじゃないですか」と答えた。思わず噴き出した記者も多かった。

 26(大正15)年、東京の東中野に生まれる。父はイタリア文学者、母は元新劇女優だった。府立二中(現・立川高校)を卒業して、旧制高知高校(現・高知大学)に入学。阪田寛夫と出会ったことが将来を決定づけたという。

 東京大学文学部言語学科に入学。48年から日本大学芸術学部で講師を務め、50年、同人誌『新思潮』の同人となり曽野綾子と出会う。翌年、画家の執念を描いた「冥府山水図」が「芥川の再来」と称賛された。

 作家として活動するなかで阿川弘之、吉行淳之介、遠藤周作などと親しく付き合い、「第三の新人」の1人とみなされるようになる。67年には家庭崩壊を描いた『箱庭』で新潮社文学賞を受賞した。

 曽野とは日大助教授に就任したのを機に53年に結婚。色紙を頼まれるとしばしば「妻をめとらば曽野綾子」と書いたといわれる。文壇の「おしどり夫婦」と呼ばれたが、もちろん苦労もあった。

 最初は曽野の実家で義母とともにくらし、その後、隣家を買い取って三浦の両親を住まわせた。曽野が30歳代に鬱病をわずらったときには、可能なかぎり海外に連れ出すよう努めた。その甲斐あって曽野はある日の夕刻、再び小説を書き始めた。

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source : 文藝春秋 2017年04月号

genre : エンタメ 芸能