海洋覇権、軍事至上主義、核拡散、帝国化の野望、アメリカの衰退──。その時、日本は⁉︎
レーダー照射事件 軍の暴走か共産党の意志か
櫻井 東アジアにおける軍事的緊張が、近年稀に見るほど高まっています。
二月五日、中国の人民解放軍の艦船が、海上自衛隊のヘリコプターと護衛艦に対し、射撃管制用レーダーを照射していたことが明らかになりました。さらに十二日には、北朝鮮が四年ぶりとなる核実験を断行しました。
ともに、日本の安全保障を脅かす、きわめて重大な事態です。こうした危険な挑発に対して、日本はどう対処していけばよいのか。軍事、外交、各国の内政事情などにも踏み込んで、徹底的な分析をしたいと思います。
折木 まず中国軍によるレーダー照射事件からみていきましょう。これは、今年一月の十九日と三十日の二回にわたって起きています。一度目は哨戒ヘリ「SH60」、二度目は護衛艦「ゆうだち」が、中国軍の別々のフリゲート艦から火器管制用レーダーを照射されました。これは、海洋上の情報を得るために、通常使用されている捜索用のレーダーとはまったく違い、平たく言えば「いつでも攻撃する用意がある」という挑発行為であり、限りなく戦闘行為に近いといっていい。
ここまで危険な行為を仕掛けた中国軍の意図ははかりかねる面もありますが、今回、自衛隊は、緊急事態に際して冷静に対応したと思います。
春名 同感です。対応を誤って、うかつに応戦準備などをしていたら、本当に偶発的戦闘が起きていたかもしれない。そうなると最悪の場合、日中戦争の火ぶたを切った「盧溝橋事件」の再現になってしまいます。
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source : 文藝春秋 2013年04月号