元長官が語る 「中国漁船衝突」海上保安庁の“二律背反”

島国日本を守る“海上警察”の過酷な現場の実態

佐藤 雄二 元海上保安庁長官
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佐藤雄二氏 ©文藝春秋

 日本は四方を「海」に囲まれています。こう言うと、「今さら指摘されることではない」とお叱りを受けそうですが、その意味を改めて考えていただきたいのです。

 日本の貿易量の約99%は海運に支えられています。海産物も日本の貴重な食料源になっています。「海」は、日本の存立基盤なのです。

 その「海」が平和で安定した状態にあればいい。しかし残念ながら、現状はそうではありません。そもそも、戦後70年以上経つ今でも、「海の国境」が(隣国も同意するような形では)定まっていないからです。

 まず、東シナ海での中国との境界線は未画定で、尖閣諸島をめぐる問題も生じています。韓国とは竹島問題があり、境界線が画定していません。ロシアとも北方領土問題があり、国境が画定していない。国交のない北朝鮮とは、話し合いすらできていません。

 つまり、日本の四方を囲む「海」は、いつトラブルが発生してもおかしくない状態にあるのです。

 そうしたトラブルを未然に防ぎ、トラブルが生じた場合にはそれを最小限に抑える――これが、私が奉職してきた海上保安庁での仕事です。

 映画「海猿」の大ヒットで海上保安庁は一躍脚光を浴びました。しかし、どんな役割を担い、日々どんな任務に従事しているのかは、あまり知られていないのが実情です。

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source : 文藝春秋 2019年8月号

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