中国漁船衝突事件から14年。語られなかった秘話を明かす(聞き手 城山英巳・北海道大学大学院教授)
「何をしてたんですか、仙谷さんは! 言っておいたでしょう、私は日中関係を大事にする政治家なんです!」
2010年9月18日、菅直人総理は首相公邸で仙谷由人官房長官に怒りを爆発させました。尖閣諸島付近で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突してきた事件から11日後、前原誠司外相や福山哲郎官房副長官らに加え、佐々江賢一郎外務次官や齋木昭隆アジア大洋州局長、そして中国課長だった私も同席して、事件処理に関する協議を行いました。仙谷さんが黙って俯(うつむ)いていると、
「外務省は何をやってるんだ!」
菅総理の怒りは収まらず、矛先は前原さんのほか、外務省にも向けられました。ただ、中国漁船が海保の巡視船に故意にぶつかってきて逮捕相当と見なされたわけで、外務省に責任はありません。それでも総理の発言ですから、みんな黙っていました。
菅総理が「外務省には専門家はいないのか!?」とまた怒鳴ると、隅の方でスチール椅子に座っていた私に全員の視線が注がれました。前原さんが「中国課長です」と紹介すると、「じゃあ一番分かっているだろう。ここに座るように」と総理は言って、目の前に座らされたのです。
「中国は何をしようとしてるんだ!?」
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