「灯りのない闇夜の湖に笛の音がどう響くのかを知りたいと言って、周作先生はここに笛の奏者を呼んで泊まっていくこともありました」
そう語るのは琵琶湖に面した「湖里庵」主人である左嵜(さざき)謙祐さん。同地の固有種であるニゴロブナを炊いたご飯とともにおよそ2年間、乳酸発酵させることで完成する鮒寿し。その味は240年を超える伝統を持つ。独特の風味に魅了された遠藤周作は生前、年に数回は必ず同地を訪れたという。冒頭の“闇笛の会”は戦国時代を描いた『男の一生』にその描写が登場するなど、遠藤はときに創作のインスピレーションをもここで得た。
先代から料亭旅館の命名を頼まれた遠藤は、自らの雅号である「狐狸庵」を与えるほどにその味や土地を愛した。
湖里庵
滋賀県高島市マキノ町海津2307
☎0740-28-1010
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
初回登録は初月300円・1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
電子版+雑誌プラン
18,000円一括払い・1年更新
1,500円/月
※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2024年8月号