〈有楽町に「ブリッジ(ママ)」という有料喫茶室があった。
十五年ばかり前、私はこの店の常連だった〉
『父の詫び状』(文春文庫)所収のエッセイ、「ねずみ花火」の一節だ。向田が週何日も訪れたのは1960年頃。昼は出版社で働き、夕方からは週刊誌のルポライター、合間にラジオの原稿を書く生活をしていた。昔は滞在時間に応じて料金を払う形式で、〈一時間たしか五十円払えば半日いても嫌な顔をされないこの店はもってこいの仕事場であった〉(同前)。
食通で知られる向田が、執筆のお供に選んだのがミックスサンドだ。具はハム、トマト、きゅうり、卵サラダで、シンプルで飽きの来ない味付け。時に店のスタッフと雑談するのを楽しんだ彼女は、実家を出て独立する頃まで、店に通い続けた。
喫茶 ブリッヂ
東京都中央区銀座4-1 NISHIGINZA B1階
☎03-3566-4081
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source : 文藝春秋 2024年5月号