評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。
年末年始はキリストの生誕を祝ったかと思えば神社に初詣にゆく慌ただしい時期だ。異なる宗教の行事をつまみ食いするのは現代日本でおなじみの光景だとはいえ、優れた入門書と出会えず、理解が深まらないことがこうした宗教的な節操のなさを加速させてはいないか。そこでクリスマス気分などすっかり消えた年始に読まれる本稿で、あえてキリスト教関係新書3冊を選んでみた。
まず元外務省主任分析官で作家の佐藤優『13歳からのキリスト教』(青春新書)。子供向けの入門書だろうと舐めてかかると火傷する。「国策捜査で逮捕され、512日間、東京拘置所に勾留されているとき、独房のなかで、何度も」聖書を繰り返し読んだと著者は書いている。重い経験を踏まえて厳選された聖書の言葉とその解説はずっしりと心に響く。
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source : 文藝春秋 2022年2月号