評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。
スマホは、矛盾をはらんだ存在だ。人と人をつなぐための情報通信機器なのに、むしろ断絶を生み出しているのだから。
石川結貴『スマホ危機 親子の克服術』(文春新書)はスマホによって分断される親子関係を描く。スマホの先に広がる世界を知らない親は、SNSで知らない人とも抵抗なく交流する子どもの様子に恐怖を感じて子どものスマホを隠して逆ギレされたり、危険信号に気づけずに子どもを犯罪の被害者にしてしまったりする。
スマホは親と子が生きる「文化」を隔ててしまう。だとすればスマホを使う子どもと理解し合うには、出自や母語が異なる外国人とのコミュニケーションの技術が参考になろう。鳥飼玖美子『異文化コミュニケーション学』(岩波新書)は『愛の不時着』など人気ドラマの会話を例に、南北朝鮮のように分断された世界に生きる者同士の意思疎通を考察する。
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source : 文藝春秋 2021年12月号