評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。
今野真二『うつりゆく日本語をよむ』(岩波新書)が取り上げるのは、いま再び進み始めている言文一致の動きだ。
明治時代の言文一致運動は堅苦しい漢文調で書かれていた言葉を日常的に用いる口語表現に変えた。しかしその変化は言葉遣いのレベルに留まり、「書き言葉」と「話し言葉」は別系列だった。
現在の言文一致は違う。注目されるのは「打ち言葉」の存在だ。話す代わりにスマホのキーでSNSに言葉を打ち込む。こうして打ち言葉が媒介となって書き言葉の中に話し言葉が浸潤してくる。その結果、内容を圧縮して表現し、圧縮された表現をゆっくり解凍しながら読んで理解する、書き言葉が保証してきたコミュニケーション作法が失われつつあると著者は警鐘を鳴らす。
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source : 文藝春秋 2022年3月号