武田百合子は、作家である夫泰淳との暮らしを綴った『富士日記』で脚光を浴びた。書き留められた日々の献立を見ると、夫婦で、頻繁にカレーを食べている。別著『日日雑記』でも「(年老いて)食べられなくなったときは、もうおしまいだ」と絶望するほど、カレーが好きだった。
赤坂の自宅から歩いてすぐの場所に、洋食屋「津つ井」があった。日本人好みの味つけで知られるこの店に百合子は、泰淳や娘の花と連れ立って訪れ、トンカツ、エビフライ、ビーフシチューなど定番メニューを何でも食べたという。そして、やはりカレーもよく注文した。
三代目女将の筒井文路さんが「武田さんや向田邦子さんなどもよくいらして、カレーは当時から変わらぬ味です」と語る逸品。食べた瞬間に、芳醇な甘みとコクが、口の中に広がった。
津つ井
東京都港区赤坂2-22-24泉赤坂ビル1F・B1
☎03-3584-1851
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
初回登録は初月300円・1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
電子版+雑誌プラン
18,000円一括払い・1年更新
1,500円/月
※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2024年7月号