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ポーク カレーライス(1,800円)。土鍋にゴロッと入った豚バラ肉も柔らかく、激しいスパイスも使っていないので親しみ深い味わい
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武田百合子は、作家である夫泰淳との暮らしを綴った『富士日記』で脚光を浴びた。書き留められた日々の献立を見ると、夫婦で、頻繁にカレーを食べている。別著『日日雑記』でも「(年老いて)食べられなくなったときは、もうおしまいだ」と絶望するほど、カレーが好きだった。
赤坂の自宅から歩いてすぐの場所に、洋食屋「津つ井」があった。日本人好みの味つけで知られるこの店に百合子は、泰淳や娘の花と連れ立って訪れ、トンカツ、エビフライ、ビーフシチューなど定番メニューを何でも食べたという。そして、やはりカレーもよく注文した。
三代目女将の筒井文路さんが「武田さんや向田邦子さんなどもよくいらして、カレーは当時から変わらぬ味です」と語る逸品。食べた瞬間に、芳醇な甘みとコクが、口の中に広がった。
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1950年の創業の津つ井
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お箸で食べられる「にっぽんの洋食」を謳ってきた。「ビフテキ丼」や「マルセイユ鍋」も名物
津つ井
東京都港区赤坂2-22-24泉赤坂ビル1F・B1
☎03-3584-1851
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source : 文藝春秋 2024年7月号