2025年は昭和100年目にあたる。敗戦や経済的繁栄だけが昭和のすべてではない。当時の独自の雰囲気や流行は、不朽の名作となる時計も誕生させている。形やデザインを進化させ、いまも引き継がれるモデルとともに、時代を振り返った。
※キャプションのデータは、ムーブメント方式、ケースの素材(SS=ステンレススチール、PT=プラチナ、YG=イエローゴールド、PG=ピンクゴールド、RG=ローズゴールド)、ケース径(mm)、型式番号、2024年11月末の税込価格となります
1920-30s
大正モダンの薫りが残る昭和初期、洒落者の紳士淑女は「モボ・モガ」と呼ばれるファッションに身を包み、欧米のジャズ・エイジやダンスホールといった狂騒を謳歌するスタイルが流行した。巨匠ルノワールが描き、フレッド・アステアが好んだカンカン帽は、モダンな洋装の嗜みとしてステッキとともに愛された。新しい装いを人々が求め始めたのだ。
1950s
テレビの普及前、映像や音声より活字こそがメディアだった頃、文壇に彗星のごとく現れた石原慎太郎が、昭和30(1955)年に『太陽の季節』を発表。アロハシャツに身を包み、刹那の享楽に生きる若者像は「太陽族」と呼ばれた。娯楽が社会現象やスターを生み翌年、“もはや戦後ではない”と経済白書は記した。
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source : 文藝春秋 2025年1月号