愛しきミニ財布

ライフ ファッション

日に日にキャッシュレス化が進み、財布はどんどんコンパクトに。いまや、「ミニ財布」派が断然優勢だ。この春は手のひらサイズの相棒を見つけたい。


※特に表記のないサイズは縦×横×マチを表します

Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)
上質な素材にモノグラム・パターンがエンボス加工され、シンプルながら存在感を発揮。上から、煌めくモノグラム・フラワーのスナップボタンが華やか。三つ折り財布「ポルトフォイユ・ヴィクトリーヌ」 9.5×12×2.5cm ¥117,700、目を引くメタリックシルバー。ジップを開けると内部は2室に。ファスナー付き財布「ジッピー・コイン パース」 8.5×11×2cm ¥101,200/ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン クライアントサービス☎0120-00-1854)

毎日を彩る手の中の宝物

 ――小さきものは、みなうつくし。清少納言が『枕草子』で説いた“うりにかきたるちごの顔”や“雛の調度”のように、手のひらサイズの小さな財布もまた美しい。コンパクトななかにクラフトマンシップが息づき、アイデンティティや機能性が凝縮されている。控えめながらしっかりと存在感を放つ姿は、迫りくるキャッシュレス化の波を一身に背負うようで、愛おしささえ感じられる。

 春に新調する財布は、その語呂から財布が“張る”ほどお金が入るといわれている。昨今は景気の影響からかSNSやニュースで、一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)という言葉も話題だ。縁起を担ぐなら、日本の吉日で“天が万物の罪を許す”という天赦日と、“一粒のもみを蒔けば万倍にも実る”という一粒万倍日が重なる日が最強の開運日となり、何かを始めたり、財布を新調したりするのにいいという。これらの吉日は九星気学の暦に基づくもので、江戸時代に多くの庶民が夢中になった。

 次におとずれる最強開運日は、2025年3月10日。眉唾物と捉えるにせよ、手元に迎え入れる美しい相棒は新しい季節の始まりに高揚をもたらす。

Dior(ディオール)
右から、コンパクトながらコインケース付き。三つ折り財布「マイ ディオール」日本限定 8.5×9.5×3cm ¥105,000、タツノオトシゴやライオンの精緻な線画が印象的。二つ折り財布「ディオールカロ」9×11.5×2cm ¥105,000、5つのカードスロットを備える。カードケース「ディオール ジョリー」7.5×10.3×0.4cm ¥63,000、メゾンに欠かせない草花の総柄。三つ折り財布「レディ ディオール」日本限定 8.5×10×2.5cm ¥110,000/ディオール(クリスチャン ディオール☎0120-02-1947)

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source : 文藝春秋 2025年2月号

genre : ライフ ファッション