国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです
SNSでことばに関する疑問をつぶやいた人が、「飯間さんに解説してほしいな」と書き添えていることがあります。頼られるのはうれしいですね。でも、申し訳ないことながら、私はそれに答えたり、答えなかったりです。
というのも、皆さんの疑問の半分ぐらいは『三省堂国語辞典』(三国〔さんこく〕)第8版ですでに解説しているからです。
たとえば、「台所の黒い害虫を『G』と頭文字で呼ぶことは定着したのか」「『他己紹介』という言い方は『自己紹介』をもじったものか」とかいった疑問の書き込みがSNS上にありました。これらは『三国』に解説があります。
「G」の項目では〈〔←gokiburi〕〔俗〕「ゴキブリ」の婉曲(えんきょく)な言い方。「Gが出た!」〉と説明しています。また、「他己」の項目では「他己紹介」「他己分析」などの例とともに〔「自己」にあわせて作ったことば〕と補説を加えています。『三国』があれば疑問は氷解ですよ、というのが私の心の声です。
もっとも、辞書の説明は、時に簡潔すぎて分かりにくいこともあります。
やはりSNSで、「『全国』ということばが『日本の国全体』の意味になるのが納得できない」という投稿がありました。あ、それは私も小学生の時に思いました。「全クラス」と言えば全部のクラスを指します。ならば、「全国」は「世界の全部の国」になるはずでは?
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