【ふ】「舟を編む」ドラマ版 厳密な考証をご堪能あれ

飯間 浩明 『三省堂国語辞典』編集委員
ニュース 読書

国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです

 ドラマの小道具というのは難しいものです。最近、国民的に人気のあるドラマで、戦前の設定なのに、本棚に『水上勉全集』が並んでいて、驚きました。

 一方、時代を踏まえて、書籍の一つ一つまで考証したドラマがあります。NHK「舟を編む〜私、辞書つくります〜」がそれです。国語辞典編纂の現場を描いた三浦しをんさんの小説を、女性編集者を主人公に翻案した作品です。

 ドラマは2017年という設定ですが、舞台となる編集部の本棚には、当時実際にあった辞書や一般書籍が並んでいます。これは偶然ではなく、スタッフが厳密に考証した結果です。

『新明解国語辞典』は20年、『三省堂国語辞典』は22年に新版が出ていますが、それがうっかり映り込んでいる、ということはありません。あくまで当時の最新版が使われています。専門家しか知らないマイナーな書籍でも、最近のものは混じっていませんでした。

 先日の国語辞典のイベントで、ライターの西村まさゆきさんが詳しい検証結果を報告しました。登壇した他のメンバーも作品の正確さを認めました。

 出版社が登場するドラマでは、いかにも「ブックオフでそれっぽい本をまとめて調達してきました」というような、不自然な本棚が映ることがあるそうです。「舟を編む」のドラマは、それとは一線を画しています。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
今だけ年額プラン50%OFF!

キャンペーン終了まで時間

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

オススメ! 期間限定

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

450円/月

定価10,800円のところ、
7/31㊌10時まで初年度5,400円
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

18,000円一括払い・1年更新

1,500円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2025年7月号

genre : ニュース 読書