国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです
11月の兵庫県知事選では、不信任決議を受けて失職した前職・斎藤元彦氏が当選しました。この選挙ではSNSが結果に大きな影響を与えたといいます。
人々の既存メディアへの不信感はかなり強いようです。〈X(旧ツイッター)で情報収集すると、〔略〕斎藤さんは悪くないと思うようになった〉(大学生・朝日新聞デジタル)、〈テレビや新聞の報道は信じられない〉(60歳代女性・読売新聞オンライン)と、斎藤氏の支持者の声を既存メディアも報道しています。
私はと言うと、テレビ・新聞などの既存メディアには信頼を置いています。誤りがないから──ではなく、誤りを検証し、責任を問う仕組みがあるからです。一方、ネットメディアは既存メディアにない情報を多く発信できるのが強みですが、誤りがあった場合、責任を負う主体が曖昧であるところが弱点です。
どちらがいい、という話ではありません。「既存メディアは嘘ばかり」「真実はネットにある」という全否定または全肯定の意見はどちらも極端です。どのメディアにも長短があり、それぞれの情報の内容を個別に評価すべきです。
さて、ここからは辞書の話になります。私の編纂する国語辞典もまたメディアの一種です。テレビや新聞と同様に、既存メディアとしてネットメディアと対峙している現実があります。
国語辞典を作る人々は「私たちの辞書は信頼されている」と考えています。でも、本当にそうか。むしろ、「辞書は難しい」「使いにくい」「上から目線」と、すでに見放され、ネットで検索された(出所不明の)説のほうが参照されているのではないでしょうか。
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